経緯度データを扱う全ての方に知っておいていただきたいこと

全国農業用ため池マップ全国道路構造物マップ作成に当たり、行政から入手した経緯度データを取り扱うなかで、単位変換と測地系変換を正しく行えていないがために、経緯度の値が誤っている事例が多数あることに気づきました。

このようなことを無くすため、このページでは、経緯度データを扱う全ての方に最低限知っておいていただきたい1 単位のこと2 測地系のことをまとめました。

1 単位に注意! 分(′)と秒(″)は六十進法です

経緯度の表し方には、大きく分けて2通りの表し方があります。1つは、度(°)・分(′)・秒(″)という単位を使って表現する方法、もう1つは度(°)という単位のみで表す方法です。

分と秒は(時間の単位と同じで)六十進法です。

経緯度データを記録したり入力したりする際は、どちらの表現方法を用いるかを常に意識することが必要です。

福岡市中央区天神の天神交差点の経緯度を・・・
「度分秒単位」で表現する場合 ~時間の単位と同じで、分と秒は六十進法!

33度35分29秒 130度23分56秒
※記号を使い、33°35′29″ 130°23′56″と表現する場合もあります。

「十進法度単位」で表現する場合

33.5914度 130.3989度

理解しづらい方は、「度」を「時間」と読み替えて考えると分かりやすいかもしれません。
例 33時間35分29秒を「時間」単位に変換する場合
 33 + 35/60 + 29/3600 = 33.59138…時間
 経緯度の変換も上記と全く同じです。

注意!!
33度35分29秒は、33.3529度ではありません!
33.5914度は、33度59分14秒ではありません!

参考:単位変換を適切に行えていない事例

練習問題

Q S市では、以下のような形式で「公共施設の位置情報(緯度経度)一覧」をオープンデータとして公表しています。この一覧に新たに以下の施設を追加する場合、経度欄、緯度欄に入力する値を計算してください。
 A公民館 139度41分11.03秒 35度54分1.33秒

公共施設の位置情報(緯度経度)一覧(さいたま市オープンデータを加工)

A オープンデータの経度、緯度欄を見ると、十進法度単位で入力されていることが分かります。一方、A公民館の位置は度分秒単位で記載されているため、変換が必要です。
 経度 139度41分11.03秒 = 139 + 41/60 + 11.03/3600 ≒ 139.713972度
 緯度 35度54分1.33秒 = 35 + 54/60 + 1.33/3600 ≒ 35.900369度
よって、経度欄に入力する値は139.713972、緯度欄に入力する値は35.900369です。
 なお、地理院地図・全国Q地図の検索窓に「35度54分1.33秒 139度41分11.03秒」(緯度、経度の順番に注意)と入力して変換することも可能です。

2 測地系に注意! 古い地図・経緯度データは日本測地系です

現在使用されている測地系(経緯度を表すための基準のようなもの)は世界測地系ですが、2002年(平成14年)4月1日より前は、日本測地系という別の測地系が使われていました。

例えば、東京付近では、日本測地系と世界測地系では、経度・緯度ともに12秒程度、距離に換算して450m程度のずれがあります(ずれの幅は、地点によって異なります)。

福岡市中央区天神の天神交差点の経緯度を・・・
世界測地系で表現すると

33度35分29秒 130度23分56秒(33.5914度 130.3989度)

日本測地系で表現すると

33度35分17秒 130度24分04秒(33.5881度 130.4012度)

このように、ある地点の経緯度を示す際、世界測地系を使うか、日本測地系を使うかで値が異なってきます。

現在、経緯度は通常、世界測地系を用いて表します。地理院地図や全国Q地図をはじめ、Web地図でも一部の例外を除き、世界測地系が使われています。

以下のような場合には、測地系の変換が必要となることがあるので、注意が必要です。
・古い経緯度データを現在の地図上にプロットする場合
・古い地形図から経緯度を読み取る場合
※測地系の変換は、国土地理院の測量計算サイト(Web版 TKY2JGD)で可能です。

参考:測地系変換を適切に行えていない事例

練習問題

Q 1995年(平成7年)に作成された台帳に、ある構造物Aの位置が以下のとおり記されていました。
 北緯33度31分56秒 東経130度38分32秒
この構造物Aの位置を地図サイト上にプロットしてください。

A この台帳は、日本測地系から世界測地系に移行した2002年(平成14年)4月1日より前に作成されたものであるため、地図サイト上にプロットするためには、世界測地系に変換する必要があります。国土地理院の測量計算サイト(Web版 TKY2JGD)に下図のように入力すると世界測地系に変換でき、同時に地図上に位置をプロットすることができます。
 日本測地系 北緯33度31分56秒 東経130度38分32秒
  ↓
 世界測地系 北緯33度32分08秒 東経130度38分24秒
 ※秒単位に四捨五入しています。


なお、地理院地図・全国Q地図上にプロットする場合は、世界測地系の経緯度「33度32分08秒 130度38分24秒」を下図のように検索窓に入力してエンターキーを押せばOKです。中央の十字の位置が当該地点です。

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